赤から青へ

フロントガラスの 前を 緑色の小さなものが横切った。信号が 赤に変わった瞬間だった。
その後を こんどは、小粒の茶色のものが横切った。 目線を繋ぐと 小雀が見えた。     鷹にも負けぬ形相で 小さなバッタを捕らえようと 草むらに突っ込んだのだ。          茂った草の葉先が激しく揺れてバッタが飛び上がり 小雀も空を切る。まばたきしている間の 事なのに スロ-モ-ションを見るようにはっきり見えた。次の瞬間 薄緑色の透けた羽が    ひらひらと光を透かして落ちた。
一丁上がりである。
自然界も人間社会も 同じく一瞬の間に勝ち負けがきまるのである。小雀もまた、何かの餌食になるかもしれないが バッタには気の毒だが「頑張れよ!」となぜか声を掛けたくなった。
一陣の風が落ちきらずにいた羽の一枚をもう一度高く舞い上げた。
信号が青に変わり 何事も無かったように ドラマが ひとつ終わった。
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by muranakayoko | 2007-05-17 18:29
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